入院!? 


8月20日(日) 入院!?
 きのうの夜、もうすぐねようとした時、パパがぼくのそばによって来た。「家で、ずっとテレビを見てるのと、病院へ入院して早くなおるのとどっちが大事。」といいました。
 ぼくはへんじにこまりました。そこへママがやって来て 「いおうか!?」といったので、ぼくが「まさか 入院するんじゃないでしょうね・・・」と早口で聞きました。
 「そうなのよ」と聞いたとたん、ぼくは泣きだしそうになりました。

 その時の君の気持ち・・・、つらかっただろうね。人が人らしく生活することのできる だい一のじょうけんは けんこうです。そのけんこうがすぐれない君は、たしかにかわいそうです。ほんとうにかわいそうで、先生だって泣き出したいくらいです。
 どうしてよりによって、ぼくのせいとの君が、けんこうにめぐまれないのだろうか。
かわいそうで、ざんねんで、たまらない思いです。

 けれども、世の中には、人らしく生活できるだい一じょうけんのけんこうにはもうしぶんなくめぐまれていながら、おごりやねたみや、さげすみや、いじわるや、つめたさのために、心にふかいやまいをもってしまっている人がたくさんいます。
 その人は、病気がちな君よりずうーっと、いく百千万ばいも不幸な人だと思いますよ。いくらけんこうだって、何にもなりゃあしない。あわれな人たちなんです。

 君は人らしい生活をするだい一のじょうけんのけんこうをそこなっているけれど、今、そして、今まで、ずうっと心の中でいっしょうけんめいにさびしさをこらえたり、いたみをがまんしたり、たいくつにたえたりしながら、けんこうでほがらかな生活をしている人が一どもけいけんしたしたことのない、べつの、ふかーい 心のせかいをきりひらいたのですよ。

 それに君は、このままいつまでも病気のとりこなんぞになってはいない。もうまもなく、元気になって学校へやってくるのだ。その時、君は、クラスのだれよりもいちばあーん、人らしい生活ができるのです。

 太陽は、君にいままでじゅうぶんに光をおくれなかったことをこうかいしながら、君をいっぱい輝かせるのだよ。風は、君にいままで、たんまりと空気をおくれなかったことをこうかいしながら、君をいっぱいにたなびかせるのだよ。そして、先生は、君に何というだろう?

   「伏見君。ヤジが多すぎるぞ。」
   「オイ 友孝。またよそ見をしたな。」
   「うまいな、そのいいかた、もはんてきだ。」
   「わかる人は伏見君だけですか、ほかの人は?」
   「こら、伏見 何をひとりごと いってんのか・・・」 いろいろいうだろう。

 君のことをどなる時の先生は、うれしさでいっぱいだ。君をほめるときの先生は、もちろんうれしさでいっぱいだ。頭をグリグリこづいたり、ほっぺたをチョイとつねくったり、いろんなことをしながら、君のけんこうぶりをたしかめるのさ。

 さあ、伏見君。
 もうひといきの 病気とのたたかい。そしてなによりも、めいっていく心とのたたかい。
がんばりぬいてくださいよ。その時、君は、だれよりも世界で一ばん人らしく生活できるのです。



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